2011 年度 福井大学 機械工学特別講義 第二 〜マンマシンシナジーエフェクタ解体新書〜

 このページでは,金岡が非常勤講師として担当する,標記の集中講義についての情報を纏める.

概要

 本講義では,道具として人間と共存するロボットの一形態,マンマシンシナジーエフェクタ(人間機械相乗効果器)について,その概念,哲学,技術を論じます.

 本講義は「マンマシンシナジーエフェクタ解体新書」と題するように,マンマシンシナジーエフェクタをロボット工学の基礎から順に積み上げるのではなく,まず最初にマンマシンシナジーエフェクタの実機(パワー増幅マスタスレーブシステム)を見学し,そこから,マンマシンシナジーエフェクタを実現するための要素技術へと議論を進めます.つまり,まず結果の概観から始まり,その結果に至らしめた要素技術の細部,さらにはそれらの要素技術を開発するに至った動機へと,時系列を逆に辿りながら,その全貌を把握することを目的とします.

 本講義では,ロボット実機を間近で見学する機会を設けますが,コストの都合上,演習形式ではなく座学形式となります.本講義を十分に理解するには,線形代数,古典力学,古典制御論,ロボット運動学・動力学等の予備知識が必要です.しかし,座学ですので必ずしも予備知識がなくとも参加を妨げるものではありません.ロボット工学の現状と未来,近未来のロボット社会のあるべき姿などに強い興味がある学生諸君は,予備知識がなくとも参加されるとよいでしょう.

 教科書は使用せず,参考書を時折参照しながら,プロジェクターを基に話を進めます.参考書の購入は必須ではありませんが,事前に一読しておくと講義内容の理解が深まります.また,適宜,受講学生諸君との議論を行ないます.議論するつもりの無い学生諸君は参加しないことを勧めます.

 なお,講義を受講する学生諸君に個人として伝えておきたい最低限の事項を,哲学「大学教員として」に述べてあります.非常勤講師として担当する本講義には必ずしも該当しない事項もありますが,一読しておいて下さい.

開講情報

到達目標
マンマシンシナジーエフェクタの哲学と,それを構成する基本技術について,その体系的繋がりを理解する.
成績評価方法
出席状況,講義中の発言状況,およびレポートによって評価する.
日程
第一日 2011 年 12 月 16 日(金)
第二日 2011 年 12 月 17 日(土)
場所
福井大学 工学部 二号館(機械工学科)エクセルルーム
担当教員
金岡 克弥立命館大学 チェアプロフェッサー,マンマシンシナジーエフェクタズ株式会社 代表取締役社長)
教科書
なし.適宜プロジェクターを使用.
参考書
あのスーパーロボットはどう動く スパロボで学ぶロボット制御工学,日刊工業新聞社.
連絡先
川井 昌之 准教授(工学部 二号館 3 階)

講義内容

第一講 実機解体

 冒頭に講義ガイダンスを行なう.その後,マンマシンシナジーエフェクタ(人間機械相乗効果器)の一具現化例としてのパワー増幅マスタスレーブシステムを見学し,その要素技術を解体する.

第二講 なぜ自律ロボットではないのか?

 次世代ロボットといえば自律ロボット,という風潮がある中で,マンマシンシナジーエフェクタの実装が自律ロボットという形態を取らない理由,および自律ロボットと非自律ロボットとの技術の相違について述べる.

第三講 搭乗型ロボットを実現する操縦方法・制御方法

 搭乗型ロボット,特に人型二足歩行ロボットの操縦方法については,これまで多くの提案が(主にアニメや SF の中で)なされてきた.しかし,それらはオーバーテクノロジーを前提として非現実的であることが多い.ここでは,現在のロボット工学で十分に実現できる,搭乗型ロボットの操縦方法・制御方法について概観する.

第四講 人間のパワー増幅を実現するロボット工学技術

 搭乗型ロボットの操縦方法を実装するためには,操縦者の力学的なパワーを増幅する制御が必要である.パワー増幅制御に必要なセンシング技術,制御技術,駆動技術について述べる.

第五講 搭乗型ロボットを実現するマスタスレーブ制御

 操縦者のパワー増幅技術を,さらに巨大搭乗型ロボットの操縦にまで拡張するためのマスタスレーブ制御技術について述べる.

第六講 パワー増幅二足歩行を実現するハイブリッド制御

 搭乗型・人型二足歩行ロボットの実現のためには,人間の操縦とロボットの自律制御の統合が求められる.二足ロボットの佇立状態を例に,人間の操縦とロボットの自律制御を統合するハイブリッド制御技術について述べる.

第七講 不整地歩行を実現するロボット機構学

 搭乗型・人型二足歩行ロボットの実現のためには,さらに不整地を頑健に踏破する能力が求められる.現在の多くの自律二足歩行ロボットの不整地踏破能力が不十分な理由,さらにそれを解決するための技術について述べる.

第八講 来るべき人間・ロボット共存社会の姿

 これらのマンマシンシナジーエフェクタ関連技術は,そもそもどのような世界を目指して開発されたのか.当然それは「モビルスーツ」が戦争を繰り広げる世界では無く,また「鉄腕アトム」や「i, robot」で描かれたような世界でもない.「マンマシンシナジーエフェクタがある世界」を概観し,本講義の纏めとする.

レポート

課題
1)講義内容を踏まえた上で,「次世代ロボットのあるべき姿」について考察せよ
2)講義への感想・評価
提出期限
2011 年 12 月 31 日(土)18:00 まで.
提出方法
金岡へ電子メールにて提出(メールを送る).同時に川井先生にも cc しておくことが望ましい.
注意
分量・形式は問わない(内容は濃く,量は少なく).コピペ厳禁,自ら考察すること.異論も歓迎.

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Updated on 8 January 2012 by Dr. KANAOKA Katsuya